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zoom RSS 【追悼】 ブラス界の偉大なプレーヤー、ロッド・フランクス(ロンドン響首席トランペット奏者)

<<   作成日時 : 2014/12/31 16:00   >>

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英国オケ界、いやブラス界でまた一人、偉大な人を失ってしまった。
ロンドン交響楽団の首席トランペット奏者、ロッド・フランクス。享年58歳(1956‐2014)。2014年7月にスポーツ観戦後の車での交通事故という、まだプレーヤー人生が残る中での早すぎる死だった。彼の偉業はロンドン響でのオケマンとしての活躍だけにとどまらない。長年、今や伝説のブラスアンサンブルとなったフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブル(PJBE)の後期〜解散時期(1984〜1986)のメンバーとして活躍していただけでなく、後継団体となるロンドン・ブラスの創設メンバーとしても関わっており、その後の英国ブラス界に大きな影響を与えた人物だった。また、先に亡くなった師のモーリス・マーフィー(1935‐2010)と共に、ロンドン響のトランペットの顔もあった。映画好きな方には、「スター・ウォーズ」(エピソード1以降)のサントラで聴かれていたトランペットの音、と紹介した方が分かりやすいかもしれない。久石譲のアルバムでは、ボーナスDVDに彼がリハで吹いていた模様が収められていたのを本ブログでも触れた事があった。
2002年に脳腫瘍というアクシデントに見舞われながら、無事に復帰を果たし、師匠のマーフィー亡き後は、2009年に若干21歳という若さでロンドン響の首席トランペット奏者に着任した若手のフィリップ・コブとプリンシパルの座を共にしていた。個人的には2010年のロンドン響ブラスクインテットや、2013年のベルナルト・ハイティンク&ロンドン響の来日公演に、フランクスが来日メンバーに含まれていなかったのが残念だったのを記憶している。今振り返れば彼の実演を聴けたのはおそらく、1997年のサー・コリン・デイヴィス&ロンドン響のプロムス公演のみとなってしまった。
しかしながらPJBEのアルバムを始め、膨大な音源を通じて彼の音色に接する事が聴けるのは唯一の救い。今回、フランクスへの追悼として、彼が出演するアルバムを活躍した時代順に聴いてご冥福を祈りたい。
(以下、取り上げたアルバムのジャケット:左上より時計回り)

■フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル時代
 アルバム『ロリポップス』(1985年1月録音、セント・ルーク教会にて収録、Claves海外盤)


以前も取り上げたアルバムで、PJBE活動後期の音源であり、1984年にフランクスがPJBEに加わった初期の時代の録音。ジャケット中面にはメンバーの貴重な集合フォト(=上の真ん中のフォト)も収められており、彼らの笑顔から当日のメンバー間のフレンドシップぶりを伺わせる。それがそのまま演奏の素晴らしさにもつながっており、特に「ニューヨークのロンドンっ子」はPJBEが確立したブラス・アンサンブルのレパートリーに一つの金字塔を打ち立てたといえるだろう。フランクスは当時ファースト・トランペットを担当していたと思われるが、アンサンブルの中心的なメンバーとしてこの頃から存在感を示していた。

■ロンドン・ブラス時代
 アルバム『INTRADA』(1987年10月録音、ヘンリー・ウッド・ホールにて収録、TELDEC海外盤)


ロンドン・ブラス創設時に関わったアルバムより。本アルバムはテルデックからのデビューアルバムで、ここでも表紙ジャケットに写っているのが確認できる。お勧めは終曲に据えられたヘンデルの「合奏協奏曲作品3‐4」。編曲はトロンボーンのクリストファー・モワットが担当。PJBEのデッカへのラストアルバムの終曲にバッハの「ブランデンブルク協奏曲第3番」が収録されているが、ブラスアンサンブルによるバロックレパートリーの開拓には、モワットの存在抜きには語れなかった。この合奏協奏曲では一糸乱れぬ統率されたアンサンブルを聴かせてくれ、PJBEのDNAが後継団体にも脈々と受け継がれていることを感じさせられる。ここでもロッド・フランクスはファースト・トランペットを受け持っているようだ。
なお、1986年のロンドン・ブラスの創設時のアルバムにはチューバにジョン・フレッチャー(翌年1987年に急死)がいたことも今となってはレジェンドとなってしまった。

■ロンドン・シンフォニー・ブラス
 (1991年1月録音、バービカンホールにて収録、コリンズ海外盤)


ロンドン響メンバーによるブラスアンサンブルの推しとして、以前取り上げた「ウェスト・サイド・ストーリー〜シンフォニック・ダンス」を。ある意味、タレントの揃ったロンドン響ブラスは当日のロンドンっ子を大いに楽しませたに違いない。ロンドン・シンフォニー・ブラスの音源が聴けるのはコリンズとナクソスレーベルだが、コリンズは廃盤レーベルとなってしまっただけに、貴重な音源となっている。

■師モーリス・マーフィーとの共演
 アルバム『ジャクソン・オルガン作品集』(1999年9月録音、聖ヨハネ福音教会、ロンドンにて収録、ナクソス海外盤)


ナクソスレーベルに残された貴重な音源。パイプオルガンとトランペットという組み合わせにも魅了されるが、最大の聴き所は師匠であるモーリス・マーフィーとの共演。双方の音色がブレンドされ、彼らがソリストとしても一流であった事を改めて感じさせる。彼らに共通しているのはコルネット的な温かみのある響き。そのサウンドの源流は両者共、名門ブラック・ダイク・バンドに所属していた点と無縁ではないだろう。フォルテでも決してうるさくならず、メロウなサウンドを聴かせてくれる。

■ロッド・フランクスのソロ音源
アルバム『SAVING FACE』(DOYEN海外盤)


最後はやはりフランクス自身のソロ音源を。脳腫瘍から復帰後の2003年にチャリティーアルバムとしてリリースしたもので、この中でのイチオシが「Share My Yoke」という作品。以前、アマチュアバンドで実演に接したことがあるが、コルネットの素朴かつスケールの大きな旋律が印象的な名曲だ。ブラック・ダイク・バンド出身の彼が、その古巣のバンドと共演した貴重な公演だけに、聴衆は固唾を飲んだに違いない。彼の音は良い意味で、コルネットの温かみとトランペットのブリリアントが両立された響き。演奏後の惜しみない拍手が彼への賛美を物語っている。

ロンドン響では2010年のモーリス・マーフィーの亡き後、やはりPJBEの後期からロンドン・ブラス創設時に関わったナイジェル・ゴムも2011年に52歳という若さで急逝し、PJBEに縁のあるプレーヤーがすっかりいなくなってしまったが、やはりブラスバンドの出身である現首席のフィリップ・コブを始めとしたメンバーが、彼らの伝統を引き継ぎ、新たな時代を切り開いていくに違いない。
ありがとう、ロッド・フランクス。


【本ブログでのロッド・フランクスの関連リンク】
■ロンドン響による映画・TVサントラ選B〜「スピット・ファイア」「E.T.」「スタートレック」と飛行
■最新ディスクより〜ロンドン交響楽団が奏でる久石譲の世界「Melodyphony(メロディフォ二ー)」
■チャイコフスキー:交響曲第5番〜ショルティと名門オケ(シカゴ響・ロンドン響)によるディスク3選
■『ウェスト・サイド・ストーリー』B〜ブラス・アンサンブルによる名編曲「エリック・クリーズ版」3選
■英国クラシック見聞記〜Cサイモン・ラトル、コリン・デイヴィスが登場!('97.9/10〜12)

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