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春にふさわしい曲を聴こうと思っていた矢先、うってつけのディスクが発売された。シューマンの交響曲第1番「春」とブラームスの交響曲第2番ほかが収録された、イシュトヴァン・ケルテス指揮のロンドン交響楽団の演奏によるライブ録音もの。 シューマンは以前からクーベリック&バイエルン放送響の「春」で親しんでおり、シューマン作品の中で好きな一曲。ブラームスの2番は本ブログでも以前、ノイマン盤や、スクロヴァチェフスキ盤をエントリーしているが、数多くの名盤がひしめき合う曲だ。 そんな中、ケルテス盤は期待以上のディスクとなった。元々ケルテスはライヴが似合う指揮者と感じていたが、今回の音源を聴いて、改めてそれを確信した。 ○イシュトヴァン・ケルテス指揮 ロンドン交響楽団 (@B1966年2月15日、A1965年11月30日録音、 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドンにて収録、 BBCLEGENDS輸入盤) @ロック:国王陛下のサックバットとコルネットのための音楽 Aシューマン:交響曲第1番変ロ長調 Op.38『春』 Bブラームス:交響曲第2番ニ長調 Op.73 聴きなれた名曲を、こんなにも新鮮に、情感豊かに歌い上げた演奏は、あまりお目にかかった事がない。40年以上前のライヴソースでありながら、時代的な古さは全く感じさせない。今の時代に聴いても、みずみずしく聴けるから驚きだ。 ケルテスとロンドン響が、曲に深い共感を持って演奏しているのが伝わってくるし、聴衆の息遣いが演奏に自然な高揚感を生み出す。まさに演奏者と聴衆が一体となった空気で満たされた演奏だ。 ちょうどこの'65年の秋は、ケルテスが先代のピエール・モントゥーが'64年に89歳で死去したのに伴い、ロンドン響が喪に服する意味で1年間の首席指揮者空白期間を置いた後の、首席指揮者に指名された年だった。当時まだ36才。モントゥーとは祖父と孫程の年の差だけに、当時のロンドンっ子は将来を担うケルテスに大いなる期待を寄せていたに違いない。 その一つの兆候?なのか、ブラームスの終楽章でびっくりした事が・・・。聴衆が感極まったのか、最後の3小節前で一人が大きな拍手をしたのにつられて、拍手がフライングするシーンもはっきりと聞き取れる(^^) ケルテスのロンドン響への首席指揮者就任期間はわずか3年に過ぎなかったが、このライブは彼のロンドン響との足跡をたどる貴重な一枚であると同時に、ケルテスの創り出す音楽に大いなる興味を持つ一枚となった。 '73年に43歳の若さで溺死という悲劇の死を遂げてしまったのが今更ながら悔やまれる。 しかしながら今回改めて、演奏者の本質はライヴにあると感じた。レコードの世界においても、演奏者が聴衆の息遣いを感じながら音楽を創り上げる過程を知る意味で、ライヴ録音は重要なソースだと思う。 幸いにも、ここでのライブ録音の録音状態もすこぶる良く、最新の技術によって過去の名演がクリアに蘇っているのが何より嬉しい。BBCレジェンズといえば、数多くの名演が収録されたライヴ録音の宝庫として知られ、直近でもテンシュテットのモーツァルトの名演をエントリーしたばかり。今回もロンドンのプロムスのような感動を覚えることができた。 |
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