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これまで、メンデルスゾーン(1809-1847)のヴァイオリン協奏曲(通称:メンコン)というと、、何となく晩秋のイメージが漂うイメージがあった。1楽章のあの郷愁を誘うメロディーが、そう思わせるのだろうか。そんな秋限定のシーズン曲、という自分の先入観を払拭させてくれる、マイベスト盤に出会った。 '92年よりウィーン・フィルのコンサート・マスターを務めるライナー・ホーネック(b1961)と、「コバケン」こと、小林研一郎(b1940)&チェコ・フィルによる共演(画像:下)。ライナー・ホーネックは以前、ウィーン・弦楽ゾリステンのモーツァルトを取り上げた事がある。ウィーン・フィルのプレイヤーといえば、先日もトランペットのハンス・ガンシュのディスクをエントリーしていた。実に爽やかで、みずみずしさに溢れた名演だ。 ○メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 ライナー・ホーネック(ヴァイオリン) 小林研一郎指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ('96年1月10日録音、プラハ「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールにて収録、CANYON国内盤) たっぷりとした残響の中で、活き活きと奏でられるヴァイオリンの音は、まるで太陽の光がさんさんと降り注ぐ川の中で、ぴちぴちと泳ぐ魚のよう。そのみずみずしさは、ライナー・ホーネックがウィーン・フィルのコンサート・マスターのポジションで奏でる時の音とは、また違うような気がする。ここでは伝統とか格式に縛られる事のない、ソロ・ヴァイオリニストとしての姿があるのだろう。 ウィーン・フィルとの共通点を感じるとすれば、それは音楽の歌わせ方だろうか。ウィーン・フィルは、個々のメンバーが、高価な楽器を使ってはいない、というような記事を、その昔雑誌で読んだことがあるが、演奏法や音楽の歌わせ方にその比重が置いている所に、ウィーン・フィルならではの特質が息づいているのだろう。 とはいいながらも、ホーネックの現在の使用楽器は、オーストリア国立銀行から貸与されている1714年製ストラディヴァリウスのようだ(^^)ホーネックが生み出す音色は、例えばダヴィッド・オイストラフの演奏で感じるような骨太さや、力強い音色とはまた違う。音色の線は細いかもしれないが、その美しさはメンデルスゾーンの色彩感を実にうまく引き出した演奏になっているように思う。 コバケンとチェコ・フィルとの相性もいいのだろう。コバケンのテンションに乗せられ、ホーネックの演奏を良い方向に導いているように思う。 コバケンは8年程前だっただろうか、横浜みなとみらいホールで、お得意のチャイコフスキーの交響曲第4番を日本フィルの演奏で一度聴いた事があったが、まさに熱血型というにふさわしい指揮者だった。ここでもセッション録音ながら、終楽章に向かって演奏が自然と白熱してくるよう。昨年、フランス国立リヨン管弦楽団の来日公演時で聴いたメンコンはいま一つの感が残っただけに、その感動は尚更のものがある。チェコ・フィルの、シルクのように滑らかなストリングスによる好サポートも特筆しておきたい。 なお、今回のディスクはハイクオリティな録音にも感動。クラシック・オーディオの世界で、これほどまでに鮮度の高いサウンドを聴かせてくれる事にも驚いた。これはプロデューサー、レコーディング・ディレクターであり、バランス・エンジニアでもある江崎 友淑(えざき ともよし)氏(現在はエクストンレーベルで活躍)がドヴォルザーク・ホールの音響を熟知した手腕によるものだろう。このホールの残響の良さを、最大限に引き出すことに成功している。ジャケットの写真はドヴォルザーク・ホールで撮ったものだろうか(画像:上)。演奏・会場・録音の3拍子揃った名盤であり、セッション録音ならではの醍醐味といえるだろう。 メンデルスゾーンといえば、シューベルト(1709-1828)の「グレイト」を初演(1839)した指揮者でもある。シューベルトつながりでもいいタイミングでのエントリーとなった(^^) |
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